・・・ってまさかツァーリの香りか??と誤解したのが出会いでした(汗)それは、パトリシア・ド・ニコライさんがご主人ジャン=ルイ・ミショー(Jean-Louis Michau)さんとともに創設したフランスのパヒューマリー、Parfums de Nicolaïのことです。「ド」が示すように貴族のご出身であり、ゲラン社の創設者ピエール・パスカル・ゲランの血をひいておられ、子供時代はゲラン家の香りの下で育ったというパトリシアさん。将来はゲルリナーデを継承したいと願っておいででしたが、ゲラン家の調香師は代々男性が継いでいたのでそれは叶わず、ご自身のブランドを作られたのだそうです。
ゲランが一族の手から離れた後、秘伝のゲルリナーデは調香に使われていないそうで、聞くところによると一族最後の調香師ジャン=ポールさんが保管庫にしまったままだという話も。新生ゲランを率いるヴァッサー様は、先代をリスペクトしつつ現代的な解釈でゲランの香りを作っておられる(ラ・プティット・ローブ・ノワールのパルファムはオフィス向きという意味でも良かった)ので応援したいのですが、疲れた心にすーっと馴染んで自分を取り戻せるような香りが欲しかったのです。
(話が長くなるから香りの説明はなるべくほんわかシンプルに言います 笑)
いつもお世話になっている米国のサイトにてサンプルを幾つか取り寄せる際にニコライさんの香りも入手しました。先ずはフィグティとローズウードを試しました。フィグティは「甘酸っぱいイチジク入りグリーンティ」といった感じで、初夏にパシャッと浴びたい香りでした。
ロースウードはバイキリアンのローズウードよりもドライで「落ち着き払った沈香ローズ」といった印象で、湿気の多い日本では男性にもおすすめです。(どちらも良い香りですが、正直なところローズウードはキリアンの方が好みでした)
ニコライ社の香り良いな!と思い始めたのでウェブサイトで香りの構成を見て、これ絶対好きだわ♪と猛進して(笑)キスミーテンダーをボトル買いしました。大抵はムエットやサンプルで、最終的には肌で試して、ミドル以降が良かったらお財布と相談して買うのでこれは冒険でしたが、幸運なことにとても良い「芳しいお花で飾られた杏仁豆腐」の香りでした。(八角が調合されているのです)杏仁豆腐と表現しましたがグルマンになりすぎないのはヘリオトロープやイランイランが存在しているからでしょうか。
キスミーテンダー購入の際にはサクレブリュのオーデパルファム(EdP)とヴァニーユトンカのサンプルも一緒に送って下さいました。
それでもう、サクレブリュ(サクレブルー)に一目惚れならぬ一嗅ぎ惚れです。色々アツく語りたいのですが一言でいうと「お香漂う穏やかチュベローズ」。聖なる青(Sacré bleu)という美しい名前もさることながら、しゅんとした心に寄り添ってやがて元気になって春を迎えられそうな印象です。後日、オードトワレ版(EdT)をボトル買いしたことは言うまでもありません...汗。サクレブリュEdP版、Intence版、EdT版を試してみて、私にはEdP版かEdT版がしっくりきました。しかし、後日どちらとも廃盤になると知りました(T_T)
現在はIntence版のみのお取り扱いです。もちろんIntence版も素晴らしくて持続性が良いので今のボトルを使い切ったら考えたいと思います。
ヴァニーユトンカは最初あんまりぐっとこなかったのですが、ハートノート(ミドル)からベースノート(ラスト)にかけてトンカビーンの香りがやんわりと、しかしはっきりと漂い始め、お酒の苦手な私にとってこの「ナチュラルで酔わないスパイシーヴァニラ」は意外性があって明るい気持ちになれました。
知り合いの方から教えて頂いたオダリスクはニコライさんのラインナップでは古株で、オークモスの効いた「しっかり者のシプレーフローラル」。(フレグランス系のウェブサイトでは大きくフローラルに区分されていました)仕事の前に纏えば自分の人間性を保ったままシャキッとできそうです。
その一方で、ナンバーワンインテンス、ニューヨークインテンス、ウィークエンドをサンプルで試しました。ナンバーワンインテンスはニコライさんの最初の香り「ナンバーワン」のIntence版で、1989年に発表された「ナンバーワン」には仏フレグランス協会のベスト・パフューム・クリエーター国際賞金賞(Mouillette d’Or du Prix International du Meilleur Parfumeur)が贈られたそうです。ナンバーワンインテンスは「次世代の夜間飛行」。温かみのあるガルバナムと酸っぱく辛めのブラックカラントからサクレブリュよりも控えめなチュベローズとオレンジの花へ移行しますが、ベースの白檀、アンバー、ムスクが最初から顔を出しているのでフローラルっぽくないフローラルです。
ウィークエンドは男性的な爽快感のあるフローラルグリーンで「朝露滴るハーブをもぎり取った皮手袋」の匂いに感じました。私よりも夫が良い香りだと言っていたので、割と男性が好きな香りの系統かもしれません。(女性向けでしたが)
ニューヨークインテンスは着けてみなければわからない虜になる香りです。(虜になった人がここにいます 大汗)ニューヨークは割と男性向けですがIntence版はクリーミーな匂いの期間が長く、元々の体臭がこんな感じだったのでは?的な香りです。ここにもオークモスが絡んでおりますが、ベチバーとクローブとアンバーなど、体臭に良く馴染む香りばかり。表現に困りますが「3~40代の背中から漂うアンバー」ですかね...(笑)
有難いことに全体的に良心的な価格設定ですので、ニコライさんのオンラインショップからの購入をお勧めします。